『なぜか反発される…』子どもとの関係がギクシャクする原因とは?

「最近、あの子と目を合わせづらい」

「話しかけても、そっけない反応ばかり」
こんなふうに、子どもとの関係がなんだかうまくいかないと感じたことはありませんか?

子どもが反発してくる、距離をとってくる…。そんなとき、先生方はとてもつらい気持ちになりますよね。
「わたしの関わり方が悪かったのかもしれない」「どう接すればいいのかわからない」と自分を責めてしまう方も少なくありません。

わたし自身も学校現場にいた頃、何度も同じような戸惑いを経験しました。
大学に移ってからも、この悩みを抱えている先生が少なくないことがわかりました。

今日は、子どもとの関係がギクシャクしてしまう“背景”に焦点を当てます。
表面的な言動の裏にある「心理的なすれ違い」とは何か。
関係を修復する第一歩として、先生ができる心の持ち方と関わり方を、一緒に考えてみませんか。

関係を深めようとするほど距離を感じてしまう…そんなもどかしさを感じている先生へ。
このブログが、小さな気づきのきっかけになれば幸いです。

1. Point:反発やギクシャクの裏にある「ズレ」に気づくことから始めよう

子どもとの関係がギクシャクする原因の多くは、「伝えたいこと」と「伝わっていること」のズレにあります。

先生は真剣に関わろうとしている。けれど、子どもはその姿勢を「押しつけ」や「監視」と受け取ってしまう。
すると、先生が思ってもいなかった“反発”や“無視”という形で返ってくることがあります。

ここで大切なのは、まず「自分の意図が、相手にはどう受け取られているか」を見つめ直すこと。
誤解を解こうと急ぐのではなく、まず「ズレがあるかもしれない」という前提に立ってみる。
その視点をもつことで、関係は静かに動き出します。

2. Reason:反発の背後にある3つの「受け取り方の壁」

関係がこじれるとき、子どもたちの心にはどんな壁があるのでしょうか?
わたしが現場やカウンセリングで出会ってきたケースでは、大きく分けて次の3つの「受け取り方の壁」が見られました。

「評価されるのが怖い」壁

先生のアドバイスや声かけが、本人にとっては「ダメ出し」として響いてしまうことがあります。
たとえば、「もっと前を向いて発表しようね」と言ったつもりでも、「自分はちゃんとできていない」と受け取られることがあるのです。

子どもたちは案外、先生の期待に応えようと必死です。その分、ちょっとした言葉にも敏感になります。

「見捨てられるかもしれない」壁

とくに関係がこじれかけているとき、子どもは無意識のうちに「もう嫌われたかも」と思い込んでいることがあります。
その不安から、わざと冷たくしたり、無視したりしてしまうことも。

これは、試し行動の一種とも言えるものです。
本当は「それでも見捨てないで」という心の叫びが、表面的な“反発”に変換されていることも少なくありません。

「自分の心を守りたい」壁

過去の経験や家庭環境によって、「大人に心を開くのは危険」と感じている子どももいます。
そのような子に対して、「普通に接しているだけなのに、なぜか避けられる」という感覚を覚えることがあるかもしれません。

これは、子どもの“防衛反応”です。先生に非があるというより、安心できる関係がまだ築けていないというサインです。

これらの「壁」は、子どもが先生を試しているというよりも、自分自身を守るための手段として現れます。しかし、この壁は、外部から自分を守るために作られるのですが、その内部では本人もコントールができないエネルギーがたまり、それが他人や自分への攻撃に変わります。
だからこそ、先生の側が「悪気があるわけじゃない」「不安や痛みの裏返しかもしれない」と想像できるかどうかが、とても大きなカギになります。

3. Example:関係修復に向けた具体的な場面と工夫

【1】無視・反発にどう対応する?現場での経験から

わたしが現場にいた頃、授業中に机に伏せたまま寝たふりをする子どもがいました。
声をかけても「別に…」と素っ気なく、関わるたびに反発が強まるばかり。

当時のわたしは「授業の秩序を守らねば」という気持ちが強く、「そんな態度ではダメだ」と、まっすぐに指導を続けていました。
でもあるとき、「どうせ俺のこと嫌いなんでしょ」と言われたとき、胸を突かれるような思いがしたのです。

そこで初めて、自分の伝えたい思いと、子どもに伝わっている印象に大きな“ズレ”があることに気づきました。

【2】関係修復の第一歩は「聴く姿勢」

それからは、「関わろうとしない」のではなく「関わり方を変える」ことを意識しました。
具体的にはこんな工夫をしました:

  • 朝のあいさつに、その子の関心ごとを一言添える(例:「昨日のダンス、見たよ」)
  • 無理に問いかけず、子どもが自然に話せる時間を待つ
  • 雑談や日常会話を“情報”ではなく“つながり”として大切にする

最初は反応も乏しかったのですが、ある放課後「先生、明日って小テストるんだっけ?」と話しかけてくれたとき、小さな変化を感じました。

あのひとことには、もしかしたら「もう一度つながってみたい」という気持ちがこもっていたのかもしれません。

【3】他の先生の実践例:無理に迫らない工夫

他の先生方からも、印象に残る取り組みをいくつも伺いました。

  • 昼休みにわざと近くで本を読む先生
     → 何も言わず、ただ「そばにいる」ことを続けるうちに、4日目に子どもから声をかけてきた。
  • グループ活動の場で自然に接する工夫をした先生
     → 個別で対話するより、周囲の子どもとの関係を観察することで、その子の別の面を知ることができた。
  • ノートや連絡帳に「ありがとう」を書き続けた先生
     → 認めてもらえているという感覚が、信頼の土台につながっていった。

どれも、テクニックではありません。
「急がず、試さず、待つ」。そんな先生の“在り方”が、少しずつ子どもの心に届いていったのです。

【4】反応の裏にある“こころの叫び”を想像してみる

子どもが無視する、反発する、冷たくする──
それは「もう関わりたくない」というサインではなく、「本当はつながりたい」「でも怖い」という葛藤の現れかもしれません。

だからこそ、わたしたち大人が「どうせ伝わらない」とあきらめず、
「子どもは、まだ伝えきれていない」「わたしはまだ理解できていない」と丁寧に寄り添うことが、関係修復の第一歩になるのです。

4. Point:関係修復に必要なのは、「伝える」より「受け取る」姿勢

子どもとの関係がうまくいかないとき、まず大切にしたいのは「伝える」より「受け取る」姿勢です。

子どもたちは、表面上の態度ではなく、その奥にある「気持ち」に気づいてほしいと願っていることが多いものです。
とくに関係がこじれているときほど、「ことば」ではなく「まなざし」「間合い」「沈黙」の中に、たくさんのメッセージが込められています。

反発や拒絶のように見える行動の背景に、「不安」や「期待」「ためらい」が潜んでいることを想像できるか。
そして、目の前の子どもを“敵”ではなく“問い”として受け止められるか。
そこに、関係の修復と再構築の入口があります。

すぐに結果が出なくてもかまいません。
少しずつ、少しずつでいいのです。
あなたの「見ようとするまなざし」がある限り、関係は変わっていきます。

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