主任として、この先どうすればいい?キャリアの描き方

  • 主任にはなったけれど、この先どこを目指せばいいのか…
  • 管理職には少し気が進まない。でも、今のままで本当にいいのか不安…
  • チームをまとめるよう言われても、何をどうしたらいいのか分からない…

そんな思いを抱えたまま、日々の仕事に追われていませんか?

主任(学年主任、教務主任、教科主任等)という役職は、教職人生の“一区切り”のようにも思えますが、実は「次にどう動くか」が問われる重要な分岐点でもあります。

しかもこの時期、多くの主任教員は家庭でも多忙です。子育てや進学対応、親の介護といった私生活の責任が増すタイミングと重なり、「キャリアのことまで考える余裕なんてない」と感じる人も少なくありません。けれど、だからこそ必要なのは、誰かが決めた道ではなく、自分にとって無理なく、納得できる「自分らしいキャリアの描き方」です。

本記事では、主任以降のキャリアをどう戦略的に選び、どんな可能性があるのか、現場のリアルな事例も交えてお伝えします。読み終える頃には、これからの方向性が少しずつ見えてくるはずです。

主任というポジションに就いた今、「これから自分はどんな教員として生きていくのだろう」と、ふと立ち止まる瞬間があるのではないでしょうか。管理職を目指すのか、教育現場のプロとして専門性を高めるのか、あるいは家庭との両立を優先するのか。

実際、多くの主任が直面しているのは「公私の両立」という重たいテーマです。ちょうど子どもが思春期や受験期を迎える時期であったり、親の介護が始まったりする中、日々の業務に加えて学年や教科のリーダーシップを担う負荷は決して軽いものではありません。

そんな中でキャリアの方向性を考える余裕が持てず、「このまま続けるしかない」と思考停止に陥ることもあります。しかし、はっきり言います。主任という立場は、ゴールではなく、キャリア形成の“新たなスタート”です。むしろここからが、本当の意味での「キャリア戦略」が必要になります。
そして、「この先どうするか」を考えることは、未来の自分の働き方だけでなく、家族や自分の人生全体をどう設計していくかにも深く関わってくるのです。

主任とは、学校組織の中核を担う存在です。学年主任、教科主任、生徒指導主任、研究主任など、さまざまな役割を通じて、学校全体に影響を与えるポジションにあります。

しかし、そんな主任であっても、はっきりと「次のステップ」が明示されているわけではありません。学校には企業のようなキャリア支援制度が存在せず、「この先どうするか」は本人次第になってしまうのが現実です。

このような状況で陥りがちなのが、次のような思考です。

  • 「忙しすぎて、キャリアのことを考える余裕がない」
  • 「主任まで来たけど、これ以上上を目指す自信がない」
  • 「家庭のこともあるし、今はこのままがいいかもしれない」

これらの思考は決して間違いではありません。ただ、それが“惰性”で続いてしまうと、5年後、10年後、「こんなはずじゃなかった…」という後悔につながります。特に家庭との両立に苦しんだ末、「もっと柔軟に考えていれば」「あのとき相談していれば」と振り返る人も少なくありません。

だからこそ、今この時期にこそ、自分なりの「納得できるキャリアの描き方」を模索することが必要なのです。

ここで、実際にキャリアと家庭のバランスを考えながら、未来を切り開いた現場の主任教員たちの事例をご紹介します。

◯事例①:管理職を目指すAさん(中学校・35歳)

Aさんは学年主任を任されて3年目のタイミングで、「このまま学年をまわすだけの人でいいのか」と違和感を感じ始めました。そこで彼は、教育委員会の中堅教員研修に申し込み、校内研修でも教務主任のサポートを買って出ました。

また、休日には大学の公開講座で教育行政について学び、視野を広げました。結果、40歳で管理職試験に合格し、42歳で教頭に昇進。現在は地域の教育改革にも関わるリーダーとして活躍しています。将来は大学での教員養成か、教育に関わる起業を意識しているそうです。

→ ポイント:将来像をイメージし、それに向けた準備を自分で始めたことが転機になった。

◯事例②:専門性を極めたBさん(小学校・40歳)

Bさんは生徒指導主任を5年間務める中で、「生徒理解」や「保護者対応」への専門性を高めたいと感じていました。管理職には関心がなかったため、自らスクールカウンセラーとの連携体制を構築し、地域の教育相談センターともつながりました。

また、大学院の通信課程に通い、教育相談を専門的に学び、教員としてのカウンセリングスキルを高め、公認心理師の資格も取りました。今では、学校全体の生徒支援コーディネーターとして校長から厚い信頼を得ています。

→ ポイント:管理職を選ばずとも、自分の強みを深めることで、学校に不可欠な存在になった。

◯事例③:家庭と両立を選んだCさん(高校・45歳)

Cさんは教科主任として実績があり、管理職への声もかかっていましたが、家庭の事情(親の介護、子どもの受験)が重なり、昇進を断りました。ただし、「今の立場でできる最大限のリーダーシップを」と考え、教科内の若手育成に尽力しました。

また、時間管理を見直し、「短時間で成果を出す働き方」や「メンバーのやる気を引き出す支援」を探究。家庭と職場のバランスを保ちながら、「無理なく続けられるキャリア」を実現しています。

→ ポイント:「昇進しないこと=停滞」ではない。自分の価値観に合った形でキャリアを続けるという選択も立派な戦略。

これらの事例からもわかるように、主任以降のキャリアは「正解」があるわけではありません。ただし、「戦略的に選ぶ」必要があります。以下の3つの視点から、自分の道を見つめ直してみてください。

① 管理職を目指すかどうかをはっきり決める

教頭・校長への道を選ぶなら、早い段階で試験制度や研修内容を調べておくことが大切です。受験資格に「教務主任3年以上」などの条件がある自治体もあるため、チャンスを逃さないためにも情報収集は欠かせません。

また、管理職の仕事が家庭生活にどう影響するのか、パートナーと共有しておくことも忘れずに。共に生活を支えるためには、家族の理解と協力も重要です。

② 専門性を武器に“現場のプロ”を目指す

キャリアとは、必ずしも役職を上げることだけではありません。生徒指導、特別支援、ICT教育、授業改善、保護者対応など、どの分野にも“現場の専門家”が求められています。

自分の興味や情熱に合った領域で強みを育てることで、無理なく持続可能なキャリアを築ける可能性が広がります。

③ 長く続けるための「自分らしい働き方」を見直す

主任は心身ともに消耗しやすいポジションです。だからこそ、「全部を背負わない」「責任の引き受け方を調整する」「余白をもつ」といった考え方が、これからの時代のキャリアには欠かせません。

たとえば「火曜と木曜は定時で帰る」と決めて家族時間を確保する、「土日は子どもとの時間を最優先にする」といった“ルール”を自分で作ることで、人生全体の満足度が上がります。

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