『学校で判断してください』時代に、スクールリーダーが最初に整えるべきもの

こんなこと、感じたことはありませんか?
- 「学校で判断してください」と言われるたび、責任の重さを感じる
- 正解が見えず、決断を先延ばしにしたくなる
- 若手や同僚の不安を受け止めきれない自分に戸惑う
次期学習指導要領をめぐる議論に触れるたび、「これからは、学校ごとに判断する場面が確実に増えていくのだろう」
そんな予感を抱いている先生方も多いのではないでしょうか。
裁量が増えること自体は、悪いことではありません。
ただ、準備が整わないまま判断を求められると、スクールリーダーの心は、静かにすり減っていきます。
わたしはこれまで多くの先生方の相談に数多く関わってきました。
そのなかで強く感じてきたのは、制度への対応以前に、リーダー自身の「構え」を整える必要があるということです。
この記事では、「学校で判断する」時代に、スクールリーダーが最初に整えておきたい心構えと視点を整理します。
判断に迷う自分を責めるのではなく、学校全体を支える立場として、少し楽に、そしてしなやかに立つためのヒントをお届けします。
結論から言えば、判断力は技術ではありません。
スクールリーダーとしての姿勢そのものです。
1.Point:スクールリーダーが最初に整えるべきもの
結論からお伝えします。
「学校で判断する」時代に、スクールリーダーが最初に整えるべきものは、正解を出そうとする姿勢ではありません。
むしろ、「正解がない状況に耐え、対話を続ける構え」です。
判断とは、白黒をつける行為だと思われがちです。
けれど、学校現場で求められる判断の多くは、曖昧さを含んだまま、暫定的に方向を示す営みです。
その重さを一人で背負おうとすると、必ず無理が生じます。
スクールリーダーの役割は、すべてを決めることではありません。
「考え続けられる状態」を学校につくること。
そのための心構えを、まず整える必要があります。
2.Reason:なぜ「構え」を整える必要があるのか
次期学習指導要領をめぐる流れを見ると、「調整授業時間制度」「裁量的な時間」「柔軟な教育課程」など、学校裁量の拡大を感じさせるが繰り返し使われています。
裁量が増えるということは、自由度が増す一方で、判断の根拠を自分たちで引き受けるということでもあります。
現場でよく聞くのは、こんな声です。
- 「決めたあとに、間違っていたらどうしよう」
- 「説明責任を一人で負うのが怖い」
- 「若手に不安を広げてはいけないと思うほど、苦しくなる」
こうした声は、能力不足から生まれるものではありません。
責任感が強い先生ほど、自然に抱えてしまう感情です。
心理学の視点から見ると、人は「正解がある」と信じられる状況では踏ん張れます。
一方、「正解がない」「後から評価される」状況では、強い不安を感じやすくなります。
学校判断が増えるということは、まさにこの状態が常態化するということです。
ここで多くのスクールリーダーが陥るのが、
「自分がしっかりしなければ」という孤立した構えです。
その結果、対話が減り、決断が遅れ、疲労だけが蓄積していきます。
大切なのは、判断の質を上げる前に、判断を支える関係性と心の余白を整えることです。
構えが変わらなければ、どれほど制度を学んでも、苦しさは減りません。
3.Example:現場で見てきた具体例と実践のヒント
ある管理職の先生の一人が「決める立場になってから、夜眠れなくなった」という方がいました。
その先生は、会議では常に明確な方向性を示し、職員の前では迷いを見せないようにしていました。
けれど個別の面談では、こんな言葉を漏らされました。
「本当は、正直よくわからないんです。でも、不安を見せたら学校が崩れる気がして……」
そこで一緒に確認したのは、「決める」と「抱え込む」は違う、という視点でした。
実際の実践として、大切にしてきたポイントは次の3つです。
- 判断の前に、必ず問いを共有する
- 決定を「仮置き」として言語化する
- 不確実性を、あえて言葉にする
たとえば会議で、
「現時点では、この方向で進みます。ただし、状況を見て修正します」
そう明確に伝えるだけで、学校の空気は大きく変わります。
若手の先生方も、「一度決めたら変えられないわけではない」
そう感じられると、主体的に意見を出しやすくなります。
また、別の主任の先生は、「判断に迷っていることを、あえて職員に伝えた」と話してくれました。
結果として、学校内に対話が増え、負担が分散されました。
弱さを見せることは、リーダーシップの放棄ではありません。
むしろ、判断を個人から組織へと広げる行為です。
4.Point:本質の再確認と行動提案
もう一度、要点を整理します。
スクールリーダーに求められるのは、完璧な判断ではありません。
判断を一人で背負わない構えです。
そのために、今日から意識できることがあります。
- 正解を出そうと急がない
- 判断の過程を言葉にする
- 不安を共有できる関係をつくる
「迷っている自分」を否定しないこと。
それが、学校全体の思考力を高めます。
判断力とは、決断の速さではありません。
曖昧さの中で立ち続け、対話を続ける力です。
まとめ
「学校で判断する」時代は、確実に進んでいます。
だからこそ、スクールリーダー自身が壊れないことが、何より大切です。
一人で背負わなくていい。
迷いながらでいい。
対話を続ける姿勢こそが、学校を支えます。
ちょっと立ち止まって、振り返ってみませんか。
判断の質を上げる前に、構えを整えることから。
わたしも、いつも道半ばです。
一緒に考え続けていけたら嬉しいです。


