裁量が増えるほど苦しくなる? スクールリーダーが陥りやすい3つの落とし穴

こんなこと、感じたことはありませんか?
- 裁量が増えたはずなのに、以前より息苦しい
- 判断を任されるほど、誰にも相談できなくなる
- 「自分が弱音を吐いたら終わりだ」と感じてしまう
次期学習指導要領をめぐる議論に触れる中で、「これからは、学校で決めることが当たり前になる」
そんな空気を、先生方はすでに感じ取っているのではないでしょうか。
裁量が増えることは、本来、学校の可能性を広げるはずです。
けれど現実には、裁量が増えた途端に、スクールリーダーの苦しさが深まる場面を、わたしは何度も見てきました。
そこで見えてきたのは、苦しさの正体は「能力不足」ではなく、無意識に陥りやすい心理的な落とし穴だということです。
この記事では、裁量拡大時代にスクールリーダーが陥りやすい3つの落とし穴を整理しながら、苦しさを深めないための視点を提示します。
読後には、「少し肩の力を抜いていい」と感じてもらえるはずです。
結論から言えば、裁量は人を強くもしますが、同時に孤独にもします。
1.Point:裁量が増えるほど苦しくなる理由
結論からお伝えします。
裁量が増えて苦しくなるスクールリーダーは、力が足りないのではありません。
むしろ、真面目で、現場を大切にしてきた先生ほど、落とし穴にはまりやすいのです。
ミドルリーダーや、管理職になりたての先生は、「現場もわかる」「上の意図も理解できる」
その両方を担える存在です。
だからこそ、無意識のうちに、責任・感情・期待を一人で抱え込みやすくなります。
裁量が増えたときに苦しくなるのは、構造的に自然なことです。
2.Reason:なぜミドルリーダーほど苦しくなるのか
裁量が増える時代に、特に負担が集中するのがミドルリーダーです。
主任、主幹、学年リーダー、分掌長。
あるいは、管理職になったばかりの先生方。
現場では、こんな立場に置かれます。
- 上からは「現場をまとめてほしい」と言われる
- 若手からは「どうすればいいですか」と聞かれる
- 同僚からは「あなたはどう考えているの?」と問われる
このとき、多くの先生が無意識に選ぶ姿勢があります。
それが、「自分が何とかしなければ」という構えです。
心理学的に見ると、人は役割が増えるほど、「期待に応えよう」とする自己圧力を強めます。
特に、これまで誠実に仕事をしてきた先生ほど、その傾向は強まります。
ここで起こりやすいのが、次の3つの落とし穴です。
- 判断を一人で引き受けてしまう
- 不安を見せないように振る舞ってしまう
- 迷っている自分を否定してしまう
これらはすべて、「責任感の強さ」から生まれます。
決して、リーダーとして未熟だからではありません。
3.Example:スクールリーダーが陥りやすい3つの落とし穴
落とし穴①「判断=自分の仕事」だと思い込む
ある主任の先生は、「最終的に決めるのは自分だから」と、会議でほとんど意見を求めなくなっていました。
その背景には、「混乱させたくない」「時間を取らせたくない」
そんな配慮がありました。
けれど結果として、判断の重さがすべて本人に集中していきました。
判断とは、決断を下すことではありません。
考えるプロセスを共有することです。
「まだ迷っている点があります」
「ここは、みなさんの意見を聞かせてください」
そう言葉にするだけで、判断は個人から組織へと広がります。
落とし穴②「弱さを見せてはいけない」と思い込む
なりたての管理職の先生から、こんな言葉をよく聞きます。
「不安はあります。でも、管理職が弱音を吐いたら終わりですよね」
もしかしたら、あなたも似た感覚を抱いているかもしれません。
けれど、弱さを隠すことと、責任を果たすことは別です。
不確実な時代に、完璧な自信を演じることは、かえって現場を硬直させます。
「正直に言うと、ここは悩んでいます」
そう語れるリーダーのもとでは、先生方も安心して考え、動けるようになります。
落とし穴③「迷っている自分は未熟だ」と思い込む
裁量が増えると、正解が見えない場面が増えます。
そのとき、真面目な先生ほど、こう考えがちです。
「迷うのは、自分の力不足だ」
でも実際には、迷いは、状況を丁寧に見ている証拠です。
迷わずに決められる判断の方が、むしろ危うい場合もあります。
わたしが関わってきた先生方の中で、長く信頼されているリーダーほど、「迷い」を言葉にし、共有していました。
4.Point:落とし穴から抜け出すための視点
もう一度、本質を確認します。
裁量が増える時代に必要なのは、強いリーダー像ではありません。
- 判断を開くこと
- 不確実性を言葉にすること
- 迷いを共有できる関係をつくること
これらは、すべて「弱さ」ではなく、学校を持続させるための力です。
ミドルリーダーや、なりたての管理職は、一人で背負う存在ではありません。
つなぎ、問い、考え続ける存在です。
まとめ:あなたが苦しいのは、間違っているからではない
裁量が増えて苦しくなる。
それは、あなたが現場を大切にしてきた証です。
「自分が何とかしなければ」
そう感じている時点で、もう十分に頑張っています。
ちょっと立ち止まって、振り返ってみませんか。
その苦しさは、能力の問題ではなく、構造の問題かもしれません。
わたしも、いつも道半ばです。
一緒に、無理のないリーダーの在り方を考えていけたら嬉しいです。

